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びわ湖にマイクロプラスチック』

京都大学大学院の研究で、びわ湖から、海の生態系に影響を及ぼすおそれがあるとされる、小さなプラスチックごみ「マイクロプラスチック」が、大阪湾よりも高い密度でみつかり、研究グループは魚などへの影響を調べることにしています。
細かく砕かれ、大きさが5ミリ以下となった粒状のプラスチックごみ「マイクロプラスチック」は、世界の海で検出されていて、体内に取り込んだ魚などに影響を及ぼすおそれがあると指摘されています。
京都大学大学院の田中周平准教授の研究グループは、ことし6月、びわ湖の6か所の水を採取して調査した結果、すべての地点でマイクロプラスチックが検出されました。
このうち、最も多く検出された湖の南部の地点では、水1トン当たり6.53個のプラスチックの粒が見つかったということです。
これは、去年11月、同じ方法で行った大阪湾の調査で、最も多く検出した地点よりも1.6倍の密度だったということです。
研究グループの京都大学大学院地球環境学堂、田中周平准教授は、「多くの川の水が流入し、長く滞留するため、密度が高まるのではないか。プラスチックごみを減らす努力が必要だ」と話しています。
研究グループは、この結果を、秋田市で9月13日から開かれる日本水環境学会で発表するとともに、魚などへの影響をさらに調べることにしています。
マイクロプラスチックは、ペットボトルなどプラスチックのごみが紫外線や波などの影響でもろくなって砕かれ、大きさが5ミリ以下に小さくなったものをいいます。
国内では、環境省が平成26年から日本近海で調査を進めていて、初年度の調査では、平均して海水1トンあたり2.4個のマイクロプラスチックが確認されたということです。
また、マイクロプラスチックは、PCBなどの有害物質を吸着する性質があることがわかっています。
このため、えさと間違ってマイクロプラスチックを食べた魚など、生態系への影響が懸念されています。
このため、水辺のプラスチックのごみをいかに減らすかが課題となってきそうです。
びわ湖では、環境を守る市民活動が活発に行われてきました。
約40年前、合成洗剤による赤潮の問題から粉石けんが使われるようになり、環境意識が高まりました。
その後も環境保護の活動は続けられ、県によりますと、現在400あまりの市民団体が、びわ湖の沿岸や周辺の川の清掃を行っているということです。
しかし、依然として大量のごみが出ています。
滋賀県野洲市で、長年、びわ湖の環境保護活動を進めている、「びわ湖の水と地域の環境を守る会」によりますと、最も多いごみがペットボトルなどのプラスチックのごみだということです。
また、ごみの量は、清掃活動を始めた20年前に比べると、約半分に減りましたが、それ以上はなかなか減らないということです。
守る会の松沢松治代表は、「県民一人ひとりが、きれいなびわ湖を後世に残したいという意識を持たないとごみは減らない。びわ湖にもっと接してもらい、湖の環境を守ることが大事だという意識を強く持ってほしい」と話していました。
大津市浄水場を管理する「大津市企業局」によりますと、浄水処理の施設は基本的に1000分の1ミリ単位のものまでろ過をして除去することができるということで、びわ湖に漂うマイクロプラスチックが水道水に紛れ込む可能性は低いとしています。
09月02日 18時56分